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テープ起こしに関するビジネスと今後

為替レートに賭けるよりも、まず国内の資産として見過ごされているものはないか。 為替リスクは度外視して、国内の信用リスクに関して倒産確率、回収率から想定されるリスク・プレミアムが確保できる商品はないのか。
そうしたプレッシャーを、アレンジャーに与えるべきではないでしょうか。 誰かが作って持ってくるものを分析するという機関投資家の姿が変化しなければ、現在の日本に信用リスク市場は育たないでしょう。
自ら市場を観察して、こうした商品が作れるはずだというメッセージを強く打ち出し、ユーロで急速に発展した信用リスク商品市場を手本にしながら、確実なリターンを上げていく、そうした構造を作り出して欲しいものだと思います。 為替レートに賭けるのもいいですが、まず国内市場でやるべきことをやってからでも遅くないような気がします。
為替レートに賭けることなく国内に回帰といっても確かに国内の運用環境には厳しいものがあります。 ここ数年の企業破綻を振り返ると、落ち着いていたのは金融機関に公的資金が投入された一九九九年度だけです。
政府が肩入れしないと産業構造が維持できないという脆弱さを露呈しました。 ’○一年初頭のダイエー救済策や第三次公的資金投入への思惑は、まさにこの文脈からもその意図は明らかです。

現在、日本国内で技術的に一番難しい仕事は資産運用かもしれません。 その任を預かる金融機関や機関投資家にとって、こうした国内産業の揺らぎだけではなく海外の信用不安も頭痛の種でした。
ITバブルが弾けたことやアルゼンチン、エンロンのデフォルト等は、クレジット・リスクを取ることによって少しでも利回りを上げようとする人にとっては大きな打撃となりました。 ほぼゼロに近い国内金利に対して、○・一%でも○・二%でも高い利回りを得るためには運用期間の長いものを購入するか、信用リスクが高い(格付けの低い)商品を投資対象とするしかありません。
しかしながら、A格でも何が起こるか分からないといった環境では、とても信用リスクによる利回り確保など無理な話です。 貸し渋り、貸し剥がしと郷揃される銀行にしても、貸出の減少分は国債運用で賄っている状態で、「預金が増える分はすべて国債運用だ」と言い切る経営者もいるほどです。
そうした銀行に預金を預ける意味はないのですが、それほどまでに国内に運用資産がないということでしょう。 財政投融資機関が発行する債券は、特殊法人改革の行方がはっきりしないまま、中途半端な状態で人気がなくなっていますし、地方債も地方自治体の財政状態の悪化が懸念されています。
つまり、これまで信用リスクというカテゴリーで検討されてこなかった資産が、すべて破綻の可能性を考慮せざるを得なくなった、ということです。 しかし、これは当たり前の話であり、その事象をもって安心して買えるものがなくなったというのは極めておかしな話です。
安心して買えるものというのは「プロでなくても可能な運用」を意味しています。 逆に、以前は信用リスクの検討なしに購入できた資産を購入して利回りを上げていたということでしょうか。
そこに、プロとしての付加価値などあると言えるでしょうか。 このあたりに金融業界の甘えが潜んでいるように思います。
国債は当然、運用対象であってこれを購入しない戦略は考えられないでしょうが、運用を業務とする金融機関が国債以外は何も買わない、信用リスクは取らない、という考え方を持つとすれば、それはお金を預けた人から見てどうにも納得がいきません。 信用リスクの運用で失敗したのは、融資業務では不動産に頼って企業分析を怠ったこと、一社への過大な集中投資にブレーキが利かなかったこと。
債券運用では外部格付け会社の格付けに頼ったことなどが挙げられるでしょう。 もっと突っ込んで言えば、そうした信用リスクの適正価格の論理を追求せず、その市場での価格変化の匂いをかぎ取る努力をしてこなかった、という点もあったのではないかと思います。

価格概念の乏しさの問題です。 それでは現在の国内運用に、どのような運用機会があると言えるのでしょう。
クレジット・デリバティブズの話を思い出して下さい。 これはまだ新しい分野ですが、新しい分野をいち早く、そして正確に理解することによる収益機会の拡大という、具体例がここにあります。
日本の信用リスクは、社債、貸付、売掛債権、CP、デフォルト・スワップ、保険保証、といった商品世界でそれぞれが独自の価値体系を持っている、という話をしてきました。 その商品群の間では、なかなか裁定取引が起こりにくい構造になっていることも説明しました。
しかし、派生商品とその仕組みづくりの技術は、割安に見える商品を割高な商品に囲まれた世界の住人に提供することを可能にします。 具体的に言えば、デフォルト・スワップで割安となった商品を債券やローンの形に作り変えることによって債券投資家や銀行が購入することが可能になります。
もちろん、いつもそのような状況が生まれるとは限らないのですが、様々な市場での価格推移を見守っていれば、そのタイミングを計ることが可能です。 毎日、国債の市況だけしか見ていない人には、こうした価格裁定の機会は訪れません。
むしろ新聞報道などで気付いた頃には、ブームが終わってしまったということが多いものです。 信用リスクの派生商品であるデフォルト・スワップ市場では参加者がどうしても非居住者が中心になりますので、日本に対する悲観的な二ユアンスが必要以上に増幅されることがあります。

国や銀行、メーカーなどに格下げなど悪いニュースが続くと、一般的にデフォルト・スワップ市場ではリスク・プレミアム(あるいは保険料)が高くなってきます。 それは、誰かがリスク・テイクできるところまで上昇する訳ですが、日本企業に対してこのプレミアムならリスクを取ってもいい、と判断できるのはやはり日本の機関投資家であるべきです。
私自身の仕事の経験で、ロシアのリスクはロシア人が、インドネシアのリスクはインドネシア人が一番よく分かっているということを実感してきました。 日本や日本企業のリスクを一番理解しているのは日本人です。
逆に言えば、日本の機関投資家がそのリスクを取れなければ、誰も取る人はいなくなります。 それはそれとして、割安・割高の裁定として、そういったデフォルト・スワップで放置された割安の銘柄を債券や融資の形に組み替えて、クレジット・リンク債、クレジット・リンク・ローン、合成債務担保証券(CDO)、といった運用商品を組成する、つまり異なる商品群の壁を取り払うことによる利回り向上が可能になるのです。
クレジット・リンク債などは、不正な取引を行う商品であるかのような一部報道がありましたが、それはこの商品の性格を正しく描写しているものではありません。 悪意を持った人が使えば、どんな商品も悪徳商品になってしまいます。
クレジット・リンク債はそうした企図によって利用された過去があるために、不正取引の代名詞のように思い込んでいる人がいるようです。 しかし、正しい理解に基づけば、これほど有利な商品はありません。
機関投資家がこのような商品に投資を向けることは、信用リスクの分配、国内資金需要への対応など、様々な点で大切な意味を持つことにもなります。

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